Burn After Reading/イーサン・コーエン&ジョエル・コーエン
目次
ジョージ・クルーニーが可笑しい
テレビのCMを見る限り全く食指がわかなかったけど、一応コーエン兄弟だし、チェックぐらいはしておこう・・・と思ってみたらギャハハのハ!!!
なんて皮肉でシュールでふざけた映画なんだ~~!っと超お気に入り!!
うん、さすがコーエン兄弟よ。
おもろさが重箱の隅のほうに極端に集中していてたまりません。
よく考えるまでもなく相当人の悪い内容なんだけど、こっちも肩の力が抜けてるから、つい軽快に見れてしまう!!
おかげで、ホラーでダラけた笑いのツボが異様に活性化した気がします。
だからといって、他の監督さんがこれを撮っても、大コケしたりするのかも・・・。
これはたぶん、あくまでも「重箱の隅が面白い」映画なのであって、重箱のどまんなかには大福が1個ポンと乗ってるだけ、みたいな感じはあります。
それにしてもコーエン兄弟ぐらい出世すると、「こういう人を選ぶ映画を思う存分作れる」という特権があっていいなあ。
ともかく、登場人物は全てバカでした。
しかも、決して他人事とは言い切れないオバーカ。
舞台は一見現実離れしているようだけど、人間の行動&思考パターンとしては、いかにもそこらへんにゴロゴロありそうなところをひっぱってきているのがイイんですよね~。
渾身のアホ笑いを浮かべて、そのまま撃たれるチャドの最期に笑いころげながら、焦るハリーを指差しながら、整形にこだわるリンダにアキレながら、人間ってやつぁ~~~知能指数カンケイなくみんなオバ~カなんだよな~~~とアタイは得心いたしました。
もしかして人はすべて「自分をバカと思ってないバカ」なのかもしれない。
そう、笑ってる自分も笑われているバカなんだ。
だって「自分をバ~カと思ってないバ~カ」をこうして客観的に見ると、ちゃんとバカに見えますもんな。
ヤッホー!これは福音ですよ。
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感想
ホント、作りこみが楽しい映画だと思います。
一瞬の選択が今後の運命を変えるように、誰もが「うっそん!!」と言っちゃうラストに向かって、まっしぐらにねじれていくのを、独特の「間」を与えられつつ、スピーディーにお気楽に体験させてもらえましたもんね。
もし、一瞬の選択がひとつずつ違うパラレル・ワールドがあったら、宇宙も1コじゃ足りないはずだわ。
人の行動は、いろんな縦糸と横糸の組み合わせと、なりゆきによってめまぐるしく変わる。説明のつかない行動もする。
諸葛亮孔明だって太公望だって「本人にもどう転ぶかわからない、オバカ」の裏はかけっこないよね。
キャストは全て一流の芸達者ぞろいなのに、どのキャラもイキイキと、とことん「演りすぎ」ているのがまたおかしい。
それぞれの個性がトラウマと言っていいほど、印象に残ります。
最後は、一体何が起こったのか、よくわかんないまままとめに入るCIAの上司が超おかしく、気の抜けたラストの曲はもしや一生思い出し笑いしかねない、忘れえぬ曲になったかも・・・・。
2010年2月
「 バーン・アフター・リーディング」データ
Burn After Reading(2008)アメリカ
監督
- イーサン・コーエン
- ジョエル・コーエン
出演
- ジョージ・クルーニー/ハリー・ファラー(出会い系サイトにはまり、夫婦関係の不和をネタに、複数の女をたらしこんでいる、財務省の連邦保安官。)
- フランシス・マクドーマンド/リンダ・リツキ(出会い系サイトにて女の幸せをつかむため、悲願の全身美容整形の費用を捻出すべく、オズボーンを恐喝しようと企む、スポーツクラブの従業員。)
- ジョン・マルコヴィッチ/オズボーン・コックス(アルコール依存症で、CIAをクビになった腹いせに、自伝と称する暴露本を出そうと思いつく。武器は斧(笑)。)
- ブラッド・ピット /チャド・フェルドハイマー(脳みそまで筋肉化が及んでしまった、プロティンおバカ。ipodをこよなく愛し、スリラー(たぶん)なんかを聴いている。リンダの同僚。)
- ティルダ・スウィントン /ケイティ・コックス(オズボーンの妻。ハリーと浮気中で、オズボーンとの離婚を優位に進めるため、PC内の情報をCDに焼き弁護士に渡す。チーズにこだわる小児科(たぶん)女医)
- エリザベス・マーヴェル /サンディ・ファラー(ハリーの妻。絵本作家。目立たないゆえに、黒幕の雰囲気を持つ?<うそうそ。)
- デヴィッド・ラッシュ/CIAの職員、スミス
- J・K・シモンズ/CIAの上官
- リチャード・ジェンキンス/テッド
- オレク・クルパ/クラポトキン
- マイケル・カントリーマン/アラン
- ジャクリーン・ライト/モニカ
- ダーモット・マローニー
- クレア・ディーンズ