HELLRAISER(1987)クライヴ・バーカー
痛みという快楽
この世のどこかに人知れず、世にも魅惑的なパズルBOXがあるという。
その名も雅な、ルマルシャンの箱・・・。
なんと、そのパズルを解いた者には特別なごほうびがもたらされるという。
ごほうび、すなわち究極の快楽!!
なんかもったいぶってるけど、第三者目線のここだけの話、パズルの難易度は超低く、軽くひとなでするだけでこと足ります。
なので、手に入れることさえできればあとは知能に関係なく、究極の快楽をゲットできちゃう模様です。
ただし、究極の快楽はウルトラ痛い!!
けど、ルマルシャンの箱に挑む勇者は、そこまでリサーチしてないらしい。
だからして、断末魔のその時に「え?いやそんな!痛いとか聞いてない!それ早く言って!パズル解く前に言って!ギャーちょっと待って待ってやめめめめめめめ~~!」と足掻きまくるハメになる。
しかも、むこう(どこ?)にとってはサービスなので、泣き言が多いほどどんどん痛さが増す仕組み!!
そんなわけで、ヘルレイザーを一口で表すなら「痛いことは気持ちいい!!」という方向のゴリゴリSMスプラッタ。
さすがに長期シリーズ化しているだけあって、独特のオレ様な世界観には他の追随を許さない風格がございます。
特にこの「1」においては、原作者のクライブ・バーカー自らメガホンをとっただけあって、耽美系地獄絵図オタク(って誰や)にとってはこたえられない、ねちっこさです。
なにはさておき、人間をイターイ地獄(性癖により極楽?)に誘ってくれる、パンクな修道士(セノバイト)たちのカッコよさ!!
私たち紳士淑女が、もしヘルレイザーにハマるとしたら、そこに尽きると思います!!
セノバイトという存在
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そうなんですよ。
ヘルレイザーの世界観を象徴するのが、セノバイトという存在です。
この方たちはサービス提供の際に、後光と共に現れる数人のグループなんですがそのナイスなボディの有様と言ったら、なんかいろいろ刺さってたり、あらぬ方向にねじれてたり、あるべき身がソゲてたり、ズシャっとつぶれていたりと、スゲー痛そうなんでございます。
困ったことにそれがもう、やたらとカッコいいんですよね!
いざこの人たちと出会ってしまったら最後「タンマ!」は通用しないので、どこからともなく現れた鎖のフックに、ほっぺた手足と、各所ぐさっとひっかけられて、あらぬ方向に引っ張られるしかないってわけ。
メキメキ。ぶちぶち。ぶしゅう。ぐっちょり。ねっちょり。しゅわしゅわ。……と、早い話がバラバラに!
どうよ、すっげー痛気持ち良かったやろ?お礼は?……っと言いたげなおごそかな視線を、変わり果てた肉片に向けられましても、そ、そ、その快楽、あまし万人向けとは言えないような~。
いや決して文句があるわけじゃーないっすけど、少なくともアタイはあましうらやましくない感じです!!
あらすじと感想
さて今作の内容はといえば、欲にまみれた小悪党な男女(ジュリア&フランク)が自業自得にヒドい目に遭う話!!
…… とは言え別に道徳映画じゃないので、普通のお父さんとかも死にます。
つーかパズル関係なしに、単なる巻き添えで死んじゃったお父さんこそ、いちばんお気の毒じゃない?
さんざん痛そうだったのに、究極の快楽はなし!
巻き添えなのに地獄行き?ひっひどい!!
だってヘルレイザーですよ?
どうせ死ぬなら、パズルをなでて鎖つきのフックに囚われ、 引きちぎられてこそナンボですよね。
一方今回のお騒がせキョーレツ不倫カップル、フランクとジュリアは、同情の余地が全くない、絵に描いたような悪役!
どんな変わり果てた姿になっても、しぶとく悪いやつなので、安心して画面を見守れます。
それにしても、悪いヤツって生命力あるなぁ!
まぁ、基本的にはどっちもどっちのはずなのに、話が進み、修道士(セノバイト)ピンヘッドが登場すると、生臭い欲望がにおい立つような身勝手な俗物より、自分の世界にこもりきって、痛みに恍惚となってる変態の方が、ストイックで美しいのではないだろうか・・・なーんて気持ちになりはじめます!
そこいらへんの若いのが、ボディピアスとか開けちゃう気持ちが、チョッピリわかるようにもなる!!
タトゥぐらいなら、バッチリ背中に入れたくなる!!
ってことで、どんなツッコミが喉から出かかっても、堅いことはいいっこなしにしておこう!
ただひとつ、これだけは言っておかねばならぬであろう!
←は、悪女ジュリア。
不倫相手のフランクをもとの姿に戻すため、その美貌を利用して、酒場でオヤジを釣り放題……。
オヤジ群はそれはもうカンタンに、次々コロっとひっかかる!!
……っていうか、び、び、美貌?
びびび美貌ってなんのことだっけ(爆)??と思わず広辞苑をひきなおし。
つーか、そこはまあ人それぞれな審美眼ってやつがあるので否定しません。
けどいくらなんでもそそそそそのファッションは一体どんなカモへの釣り糸・・・?
制作年を考慮に入れても、何か狙いがあったとしても、どんなに好意的に解釈しても、やっぱりきっぱり生理的に異物。
なんせイヤリングなんて、絶対ニワトリのタマゴ大だったもん!!全身から、ぴかぴかどころか、ギラギラって電波が聞こえてたもん!!
ともかく、私はクライヴ・バーカーの世界観や美意識が心底大好きなんですが、このジュリアを見る限り、彼のセンスを100%信用するのは、チョットやめとこうかな・・・と思いました。
まあいいけどさ……。
こうゆう女性にひっかかって殺されちゃったオヤジ、来世ではもーちょぃしっかりしてほしいものです・・・。
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「ヘルレイザー」データ
HELLRAISER 1987年 イギリス
監督
- クライヴ・バーカー
出演
- ダグ・ブラッドレイ(ピンヘッド)
- アシュレイ・ローレンス(カースティ)
- アンドリュー・ロビンソン(ラリー)
- クレア・ヒギンズ(ジュリア)
- オリヴァー・スミス(フランク皮なし)
- ショーン・チャップマン(フランク)
- ロバート・ハインズ(スティーブ)
- サイモン・バムフォード(バターボール)
- グレイス・キルビー(フィメール)
- アントニー・アレン
- レオン・デイヴィス
- マイケル・キャシディ
- ニコラス・ヴィンス(チャタラー)