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『映画』鴛鴦歌合戦(1939)

鴛鴦歌合戦/マキノ正博

鴛鴦歌合戦

目次

現代にも色あせない楽しさ

いやぁ、すごいなあ。
噂には聞いていたけど、これほど吹っ切れた映画だとは。

そもそもこれは、「日本で最初のオペレッタ映画」とか、「たった4日ででっちあげた作品」とか、伝説級の風の噂を聞きつけながらも、なかなか実物に巡り会うチャンスのない、幻の映画だったのです。
手に入らぬゆえに募る複雑な思慕の情。 ……がクライマックスに達そうかというまさにその時。

まるでハリーポッターの梟郵便のように、不思議な経路で私の手元に降ってわいたのです。時忘れもしない11月17日。
アタイについての、WEB上の最小限の情報で、プレゼントしてくれようとした人もすごいし、住所も名前も不完全な宛名で、我が家まで届けてくれた郵便屋さんもすごい。

念ずれば叶う!ということってあるんだなぁ。
本当にありがとうございました。

……ってまぁ、入手経路はともかく、映画の話ね。

 

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これはー……たぶん主役は千恵蔵ちゃんなんだと思うけど、実際は誰が主役でも困らんことだし、まぁいいかという感じです。
当の千恵蔵さんも、そんなふうに思ってるカンジです。

実際、キャストの豪華さには強烈なものがあって、ディック・ミネ扮するバカトノが、主役だと言われても、満場一致で納得しそう。

しかしバカトノよりも礼三郎(千恵蔵)よりも狂斉(志村喬)よりも、ダントツ抜きんでている「お春ちゃん(市川春代)」の魅力が強烈!!

もうね、お春ちゃんキャラからは、脳天から足の裏までビビビと稲妻が突き抜けるような、カルチャーショックを受けました。
いやはや困った、お春ちゃんカワイイ。
直球でカワイイんです。

お春ちゃんのかわいさにのぼせるあまり、脳卒中起こしそうなレベルです。
ときめくあまり、心筋梗塞も併発しそうなぐらいカワイイ。

気が強くてヤキモチ焼きで、鼻の奥から甘えた声(音?)で、「ンモー、知らないっ」なんちゃってクネっとスネる、そのしぐさ!
1歩まちがえば鼻持ちならないふくろ叩きもののキャラクターなんだけど、それが死ぬほどノープロブレム、つーかむしろブラボーでエクセレントでハレルヤなんです。

 

実際、アタイがあんな仕草を真似たとしたら、総スカンを食らうか、総スカンク小屋に入れられるか、鏡張りの隔離病棟に入れられて、気が狂うまで、出してもらえないに違いないです。
でもお春ちゃんがあれをやると、マジカワイイのなんのって、鼻の下が伸びまくる。
ああお春ちゃん、結婚して!!などと、思わずウワゴトを言ってしまう!恐るべし市川春代!!

はあはあ。

……と、恐るべしな市川春代に尽きる映画だと思うけど、もちろんそれだけじゃございませんよね。

たとえば片岡千恵蔵ちゃん!
ただの大岡越前のおとっつぁんだと思っていたら大間違い。
歌うんだもん、大岡越前のおとっつぁんが(大岡越前の父から離れられないアタイ)!! 

しかも筋金入りに貧乏人が好きで、金持ちが嫌いという、それもどうなん?とツッコメるキャラなのです。
いや、ここのところをあなどってはいけません。アメリカ人ならともかく、ワビサビな日本人にとっては、このキャラは反則すぎるんじゃないのかなぁ。
おかげでラストでわたくしは、ツッコムどころか、ひっくり返って大笑いするハメに。

 

映画自体の内容は、スカっと単純明快なんだけど、お話の、脇を固める歌と番傘が圧巻すぎて、白黒映画なのに、天然色のごとき盛り上がり。 
にわかにサササと作り上げたという伝説の映画なだけに邪魔なウンチクはなにもなし。

けど一方で、骨董あつめが趣味の志村喬が茶碗に寄せる歌なんかは、セツ!としみる、しみまくる。

ともかく、笑ったり唖然としたり沁みたりしながら、番傘で目玉ぐるぐる回しているうちに、あれよあれよの大円団!
いやもう、ホント、なによこれ!!!
暗い世相のあの時代に、こんなノーテンキ映画を撮れる、マキノ監督って凄い人だなぁと心底ひれ伏してしまいまし!! た!!

結論、せっかくシモフリな腹筋がチャームポイントだったのに、笑いすぎで腹筋が割れちゃいそうで大変だった映画。

 

▼HDリマスター版が出てるなんて、いい時代になったよね!

 

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「鴛鴦歌合戦」データ

鴛鴦(おしどり)歌合戦  日本 1939 年

監督

  • マキノ正博

出演

  • 片岡千恵蔵
  • 香川良介
  • 志村喬
  • 遠山満
  • 尾上華丈
  • 石川秀道
  • 市川春代
  • 服部富子
  • ディック・ミネ