Zombie3/ルチオ・フルチ ヴィンセント・ドーン
目次
人類滅亡の危機が!!!
ううっ!!何とも、応援しにくい映画!!
これがもし、狙ったコメディなら天才の仕事だと思うけど、たぶん真面目にやってるし……。
で、真面目なゾンビ映画と思えばズゴイ駄目!!けど駄目すぎて可笑しい、可笑しすぎる!!!
いや面白くはないんですけど!!!
ただ、フルチ監督作品の可笑しさとは、やっぱりぜんぜん違いますよね。
じつはこれ、フルチさんがおちおち倒れちゃってる間に、コッソリ勝手に仕上がってた作品らしいです。
つまりこの映画の真犯人(監督)はフルチさんじゃなくて、ヴィンセント・ドーンという人なんだって。
まあ、私は作った人は誰でもイイよ・・・。
比べる相手がフルチさんだし、どのみちフフっと笑ってしまうことに変わりはなく、ただ持ち味が違うだけよね・・・。
というわけで、 ヴィスコンティの代打をエド・ウッドがやる!
・・・みたいな極端な差はないと思います。
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国家の最高機密、細菌兵器デスワン。
それは開発者もあっと驚く、おそろしいシロモノだった。誰がナント言おうと、恐ろしいったら恐ろしいのだ。
そんな恐ろしいデスワンを今まさに輸送しようという時に、ぶーんとやってきたテロ!!
恐ろしいデスワンはあっけなくひったくりに遭った!!
デスワンを強奪し走って逃げた男を、軍がヘリで追っかける!!
なんと!!おそろしいデスワンを小脇にかかえて逃げる男に向かって、ヘリから発砲!!
デスワン入りのアルミケースに穴が開き、男は感染!!!
そして感染した男がホテルに逃げ込む!!
その先は当然、人が死ぬ!!ゾンビになる!!いろいろある!!
……というのがあらすじで、まあ、これを低予算で回しております。
いろんなことが、「おしてしるべし」状態で、サノヨイヨイって感じです。
しかしまー、ゾンビの設定に一貫性がまるでない。
それを言い換えれば、バラエティに富んでいる、と言えないこともないような。
刃物を持ってジェイソンのように襲ってきたり、女の子のあとをつけて、背後からドンと押して突き落としてみたり、ゆるゆる歩いてるのもいれば走るのもいて、なんか待ち伏せてるし、首だけ時々冷蔵庫から飛び出すし、たまに腹から胎児ゾンビが飛び出すし、究極ふつーに喋ったりするしなんじゃこりゃ。
食人鬼というワリには、人を食ってるとこなんか見たことナイし、単に顔がただれて痛がっている凶暴な人たちじゃん!?
ぶっちゃけ、この映画でいちばんおそろしかったのは、なにはさておき「投げキッスナンパ」だと思う!!
そのシーンだけは本気で、背筋がゾクゾクゾクッ!!!ってしましたもん。フルチさんのウジ虫ゾンビより、はるかに気持ち悪いかも・・。
んなモンに投げキッスで答える男どものシーンなんてもう、残念すぎて目もあてらんない。
そんなわけで、一切誰にも感情移入できないし、誰がどうなっても別にイイ!!つーか、1人減るごとにほっとする。
わりかし人類滅亡の危機らしいけど、ウィルスがなくても、投げキッスな若いのが蔓延したら、どのみちメツボーしそうな気がするし……。
ちなみに、お気に入りは一切役に立たない科学者たちです。
た、大変なことになるぞ!!とか言って髪を振り乱したりするんだけど、いつもナニをするでもなくただ言いっぱなしなので、まったく大変そうに見えなくて、むしろホノボノしてるんですよね。
いつも男女一組で役立たず、というのも絵面的にツボ。
とまあ、誉める気にはまったくなれないものの、一部のインパクトシーンが忘れ難すぎて、まるめてポイっと捨てにくい映画なのであります。
(2005年11月)
「サンゲリア2」データ
Zombie3 1988年 イタリア
監督
ルチオ・フルチ
ヴィンセント・ドーン
出演
デラン・サラフィアン
ビアトリス・リング
アレックス・マクブライド
リチャード・レイモンド