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ミーハーdeCINEMA

ミーハーが、盛大にネタバレしながら映画感想をつぶやいてます。

シュラム 死の快楽

映画感想「さ」行

SCHRAMM / ユルグ・ブットゲライト

シュラム 死の快楽

口紅殺人鬼の真実

ある、孤独な殺人犯の、隠された真実と、死ぬ瞬間の走馬燈。

誰あろうユルグ映画だから、走馬燈はユルユルと、せつなく甘酸っぱく回るけど、ハタメには単なる……つーか特別?情けない生涯にしか見えないのがこれまたどうしようもないというダウナーな秀作……たぶん。

世間を恐怖に陥れた、通称、口紅殺人鬼。
実は性的コンプレックスがあるために、生身の女を相手にできない小心者ってだけだった!!!!
……という、考えようによっちゃ、誰もがちょっとギクっとしそうな、いたたまれない身近な話。

 ■続き

そんな、パンツの中に隠しておきたかった、誰にでも有り得るコンプレックスと、役に立たないプライドってやつを、ブットゲライト監督は、赤裸々にぐさぐさ刺しまくってるんだよね。んで、いろいろやりすぎちゃっているから、懲りもせず上映禁止となったらしい。

なんつーか、妙なリアルさがあるだよね・・・。
何がリアルかって、主役のおいさん。いそうだもんなぁ、こんなヒト、現実に。
頭ハgあがってるし、腹はぷよんぷよんだし、胸毛はハジケまくってるし、本当にむっさい中年男なんだけど、顔だけみれば、結構かわいかったりもして。

この映画には、その男の孤独と、とことんみじめな日常を、まったりとしたペースで突きつけられる。

なんと言っても泣けるのは、内向的で、他人と社交的な関係を築けない彼の、日ごろの慰めが、空気でふくらませるタイプの、あまりにもチープでダイレクトでダイジェストなダッチワイフ、というくだり。
潔癖性な彼だから、事後はすばやくお手入れもして、末永く使いこんじゃいそう。

そんな彼が、ある日、ひそかに思っているとなりの娼婦を、酔わせることに成功!!酒にクスリを混ぜて完璧に娼婦を眠らせてから……、この殺人鬼がナニをするかとゆーと……、こともあろーに、娼婦をオカズに、ひ、ひ、ひとりエッチにふけるのであった……。

な、な、なんですと??
殺人鬼が、娼婦を、眠らせて、ひとり、エッチ?
ああユルグ!!なぜにそこまであまりと言うにもあんまりな描写を思いつく!!
ヒトゴトながらその情けなさの非凡さに、オーマイゴッドと吼えてしまう。
いや、神なんておらんがな。
口紅殺人鬼の孤独は、そのような、現実を遠回りに迂回していく、彼自身の選択によって築かれてきたってワケなのだろう。

もちろんそんな人生の締めくくりの瞬間が、ハデに彩られるわけもなく。
頼りな~い脚立に立って、さっきのお客を惨殺した際、血糊でブシュっと汚れたカベを、わざわざハダカでペンキ塗りのさなか、バランスを崩しかくんと落下。死す。

まあ、このしょうもなさは、モノズキだったら見るしかない。思わず腹式呼吸で真剣勝負なため息をついてしまうような、どんよりクラーイ、ドラマがあります。

ちなみに娼婦役はネクロマンティックにも出てたモニカ・M。あいかわらずかわいい。

2005年2月

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ユルグ・ブットゲライト短編集 [DVD]

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「シュラム 死の快楽」データ

SCHRAMM 1993年 ドイツ

監督//

ユルグ・ブットゲライト

出演//

フローリアン・コエルナー
モニカ・M
カロリーナ・ハルニッヒ
ミーシャ・ブレンデル