ZONE OF THE DEAD/ミラン・コニェヴィッチ ミラン・トドロヴィッチ
目次
たしかに残念、だがしかし!
いや~~~はははははっ、私は好きです!
そりゃーたしかに、元祖ゾンビバスターの「ケン・フォーリー主演!!」っていうのが最大の目玉であとはほぼ付け足しだろな、ぐらいはアタイにもわかるけど、その「付け足し」が、お、お、おもしろかったから・・・。
とはいえ鑑賞前の準備として、あらかじめ期待値をぐっと下げておく必要はあります。
やっぱさぁ、 ゾンビ映画って出来が良すぎてもあんまし面白くないんよね・・・。
その点これはツッコミ所のバランスが、好みな塩梅(かなり)に偏っていて、ツカミからぐっと酒が進むったらナイんですわ。(酒の肴か!)
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あらすじと感想
ともかくコトの始まりが、すっげえ安易で笑っちゃう~~~!
はじまりは確か「ブラック・スモーク」とか言う作戦。
その、なんかよくわからん作戦で使う、たいそうなガスを乗せた列車がセルビアのどっかの駅に止まるんです。
一方で、与太モンと駅員のちょっとした小競り合いでうっかり発砲、みたいのがあって、ガスタンクにまんまと命中!!
モウモウモウっと絶好調にガスが漏れ、またたく間に皆ゾンビ化!!
そしてあちこちエライことになるわけですけど、エライこと自体は「何オブザデッド」でも50歩100歩。
でもこれはたぶん作り手の狙い以上に、各自好き勝手な方向に発酵しまくり、かなり自由に伸び放題です。
ぶっちゃけキャラの香ばしさね。
クサヤやドリアンが子供だましに思えるほど、強烈な個性を放っております!!
ゾンビものとして、この点は極めて重要なのではないでしょうか!?
あくまでも、無駄で無意味でボンクラな設定を貫きながらも、こうまで濃い味つけを突きつけられると、相当、オブザデッド麻痺したマンネリおつむの中にも、お得で満腹な気分が漂いはじめてしまいます。
いやまぁ錯覚なんですけど、「フラシーボ効果(はあと)」とか、コトバを選べば済む問題でございます。
なんせ、なんかよくわからん犯人を護送する一行の人間模様の無駄さが秀逸!
主人公のレイエス(ケン・フォーリー)のよくわかんない一流さと、ココロに秘めた悲しみ(妻の自殺!!ベタ!!……まさか、ただの事故じゃないよね?←ありうる)、そして親友刑事との途中まで濃い絆、さらに新米刑事を温かく大きな目で見守るという、ケン・フォリーの主人公っぷり!
ぶっちゃけ、ロブ・ゾンビのデビルズ・リジェクトでの扱いとは、ドえらい違い!!
そこへ、修道院から出てきた無敵ランボーやら、列車に乗りそこねた教授やら、護送されてる犯人やらが、必要もないのにわざわざネットリ絡むんです!!
確かに一旦あきれるんですが、そこを1歩乗り越えるだけで、もう箸が転げても爆笑状態。
これはもしや、苦しみを乗り越えてから気持ちよくなるという、オタクにとってはまぼろしのあの現象。
つまり、家でゴロゴロしながら、ランナーズ・ハイの擬似体験ができたということではないでしょうか!
でもって、ガスでゾンビ化したやつらは、運動能力も生前なみ。
たしかに肉体的には無傷ですから、そりゃ全力で走りますよね。
大事なことなのでもう一度。
全力で走るゾンビ。心臓止まってるから息切れもなし。
となるともはや人間は、体力でかなうわけがない!
ただ、走るゾンビにナットクいかないゾンビファンもいますよね?
ぶっちゃけ、私はそのクチです。
ところがこの映画はその問題もらくらくクリアしています。
走るゾンビのかたわらに、ロメロタイプも無理やりしっかり配置されているのです。
おかげで、旧タイプファンもほっと胸をなでおろせることうけあい。
スタッフグッジョブ、モノノミゴトに節操なし 気の利いた仕様をありがとうございます!
つーか、製作サイドとしてはたぶん、ナイト・オブ・ザ・リビングデッドのファンと、ドーン・オブ・ザ・デッド(リメイク)のファンの、2兎を一気にとりこにする意向だったと思われます。
実際は、2兎がまとめて失望するハメになってるような気もするけど、どっちにしろ、「力ずくで両方まとめちゃってる」ところは、本気で斬新だと思います。
あと、この映画のゾンビの造形、私はスキデス。
なんせゾンビに対する愛情だけはこんなに濃いよ!というのが一目でわかる。
とくに、ずらりゾンビの日光浴大作戦!!?って山場なんか、絶対愛がなきゃ思いつかない名シーンですし!
ということで、少々英語がヘンだとか、細かいことは気にしない。
必要とおぼしき脳内補正が成功さえすれば、ピリリと配合されたオマージュネタも嬉しい、「ナンチャッテ珠玉の1品」ぐらいには充分思えるおもしろさだと思います。
ええ、ええ、アタイとしても、近年モノの中では、ややプッシュの方向です!!
2010年6月28日
「ゾーン・オブ・ザ・デッド」データ
ZONE OF THE DEAD(2009)イタリア・スペイン・セルビア
監督
- ミラン・コニェヴィッチ
- ミラン・トドロヴィッチ
出演
- ケン・フォリー Agent Mortimer Reyes
- クリスティーナ・クリーブ Agent Mina Milius
- エミリオ・ロソ Prisoner
- ミオドラグ・クロストヴィッチ Inspector Dragan Belic
- ヴコタ・ブラヨヴィッチ Armageddon
▼予告編。別に本編見なくても、これだけ見ればこと足りる模様。