ミーハーdeCINEMA

ミーハーが映画やドラマを見てはあれこれとつぶやいてます。

『映画』バスケットケース(1982)

Basket Case/フランク・ヘネンロッター

映画バスケットケース

目次

 

一瞬、兄弟の絆にむせび泣く(錯覚)

 

とある都会のホテルを訪れた、紅顔の青年ドゥエイン。

小脇に抱えたバスケットケースの中に入れて持ち歩いているのは、おやつの巨大豆大福、じゃない、ドゥエインの双子の兄、ベリアル!

思い返せば12歳まで、二人は結合双生児だったのです。
だけどある日突然に、だまし討ちを食らった挙句、名医によってならまだともかく、獣医さんのお手軽なメスによって切り離されてしまったのだ!!

 

ぶっちゃけ兄のベリアルは、ドゥエインの腹の横からニョキっと生えた、タケノコのようなものだった。
そして二人を襲った晴天の霹靂はナント、誰あろう父親の陰謀によるものだった。
父親は、タケノコを息子と認めたくなかったのだ!
ああ、ベリアルがタケノコじゃなく、せめてお父さんの大好きな、とうもろこしに似ていたなら。悲劇は防げていたのかも……。

つーか、タケノコタケノコと連発したけど、冒頭で言ったように、ほんとはタケノコよりも、まんじゅう似のベリアルさんです。それも、なめらかでふっくら白い柔肌のおまんじゅうなら、「こんな可愛い子を切り離すなんて!」と迷いが生じたかもしれない。
だがしかし、腐り気味のデコボコ容姿で、まずそうすぎる豆大福のベリアルは、その点あきらかに不利だった!

 

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まずそうなうえ巨大なまんじゅう(しかも顔までついている)の末路に、当然バリエーションなどあるわけもなく、無情にもドゥエインと切り離されたのち、ただの生ゴミとして、あっさりポイと捨てられてしまいました!!

しかーし外見がいくら腐ったまんじゅうでも、ベリアルは「人格」を持った、「人」なのである。
しかも案外、気が強かった!!

ぶっちゃけ、このような理不尽な扱いをされ、しくしく泣き寝入るタマではなかったのである!
しかし、水気の多い生ゴミとして、しっくり馴染むベリアルが、どうやって現状を打破できるというのか(手に汗)!!??

 

……と、そこはさすが元結合双生児。
テレパシーで双子の弟ドゥエインに、強制的に助けを求め、難なく生ゴミ置き場から生還します!!
ここから、ドゥエインに協力させつつ、「実行犯」としてのベリアルの復讐劇が始まるのです。

ええ、実行犯。

生ゴミ置き場から自力で脱出もできないお人が、実行犯としてせっせと殺人に励むんです。内容にムリがある……ちゅーか、ムリじゃない部分がない。まるごと無理。真性の無理。究極の無理。至高の無理。
あらかじめ、道理をよーーーっく取り除いて、残ったムリと無茶と無謀を煮詰めて煮詰めてこねくりまわして発酵させて、長~~~~~~~~い糸を引かせたような物語です。

ただ、そのムリっぽさ安っぽさが、フリークスものの哀愁と合体して、イ ガイや世間に好意的な解釈をされつつ、妙に支持されてしまったという、広い世の中の一部では結構有名な映画ですヨね……。

 

で、アタイは、このベリアルの無謀なキャラクター設定が好きです。
ひとりでは電車にも乗れないであろうハコ入りにーちゃんなのに、 性格が凶暴 。
殺し以外にカロリー使ってそうにないのに、 ムダに大食い 。
コマ送りに動き、運動神経などなさそうな割には、殺人は手際も鮮やかに残虐を極め、失敗もないという、ゴルゴもまっつぁおのスゴ腕っぷり。

いつもはケースの中なのに、彼女のできた弟にヤキモチ焼いた非常時は、やおら別人のような行動力を発揮、テキパキ出かけてテキパキ弟の彼女を殺し、テキパキ死姦。(って、どうやって???)

無茶だよ。
しかし、ベリアルの暗い過去に、一瞬同情しちゃったワレワレには、すでに思考力はないのである。どんな無茶でも、ベリアルならやるかも!!それでいいのだ!と何故か納得しちゃうのである!

 

ともかく、それまでは強い絆で結ばれていた双子の仲も、そのような痴情のもつれで瞬間沸騰、メキメキと音をたて亀裂を生じ、 最後は一見悲劇的な終わり方にて、ちょびっとカナシミを誘います……。
ノーテンキな続編を見てしまった今となっては、そのカナシミを返してくれ!!……と いう気もするけど、とりあえずこの段階では、異形のせつなさに思いを馳せ、涙にむせぶのもアリじゃない?

 

2004年3月

 

バスケットケース [Blu-ray]

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「バスケットケース」データ

Basket Case 1982年 アメリカ

監督

  • フランク・ヘネンロッター

出演

  • ケビン・ヴァン・ヘンテンリック
  • テリー・スーザン・スミス
  • ビヴァリー・ボナー