ミーハーdeCINEMA

ミーハーが映画やドラマを見てはあれこれとつぶやいてます。

『映画』ケープタウン(2013)

ケープタウン/ジェローム・サル

目次

原題はズールー。

フォレスト・ウィテカー演じるアリ警部が、ズールー族の人なんですよね。
その原題に、アタイのハートが紫色になるぐらい(チアノーゼ?)、胸しめつけられた感じです。
言うまでもなく、背景には南アの実情があるわけだからなぁ・・・。

 

※ネタバレあるかも。

  

映画ケープタウン

あらすじ

 

一人の少女の撲殺事件に端を発し、南アフリカという国が抱える底知れない闇を、手繰り寄せてしまう刑事たちのお話でした。

警部のアリには、壮絶な過去があります。

1994年と言うことだから、アパルトヘイトの末期か撤廃直後、父親をタイヤネックレスによって焼かれ(同じ黒人による、制裁的なリンチらしいです)、彼自身もエキサイトした人々に追われ、全速力で走ります。
その、アリ少年のとてつもない恐怖が、冒頭から描き出される。

そして、アパルトヘイトの撤廃後20年、アリは出世もし、マンデラの言葉を胸に、過去の社会がおかした過ちを許そうとしています。

母の自慢の息子であり、ブライアンやダンの良き上司としての日々。

しかし、殺人事件の捜査が糸口となって、次第に明るみになる大きな闇が、登場人物たちの運命を変えていきます。

 

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感想

 

ともかく、フォレスト・ウィテカーが登場した瞬間、これはヤバイ!と鳥肌が立ちました。
ウィテカーさんの泣き系の顔がハマリすぎてて、全身から、のべつ立ち上っている、幸薄いオーラに圧倒される。

アリ警部が仕事で扱う事件を通して、現代もなおアパルトヘイトの傷跡が癒えてはいず、人の、社会の奥底で、ひっそりと膿んでいることを見せ付けられて苦しかった。
あくまでも映画、というには歴史の爪あとがあまりにも残酷で、過去が生々しいのです。
子供の失踪に目もくれない社会。命とは何か。人種や、貧富や、政治や経済のような何かの運営上の戦略によって、命の重さに差をつける社会とは何か。

 

映画の途中、部下が死に至るシーンの不意打ちを喰らうのですが、治安がよくないことで有名なケープタウン、捜査も命がけなんだなぁ、と、ショックのあまり身震いします。

そしてアリが、それまで「かくあろう」とした自分を捨て本物の敵を追い詰める、砂漠のシーンの凄まじさ。
一歩、一歩、歩く、歩いて、詰めていく。砂漠のロングショット。恐ろしい、砂漠の果てしなさが美しくて、やるせなくて、恐ろしいシーン。

 

ブライアン

 あと、オーランド・ブルーム演じるブライアンが、とてもキャラとして良かったです。
オーランド=レゴラスのイメージが、ガラっと塗りかわりました。

アパルトヘイトは、白人に対しても傷跡を残していました。

ブライアンの苦悩は、レイシストとして生きた父親を、死後も拒絶しているところにあったようです。
そのブライアンが父を許すラストは、アリとの関係性を考えるほど、余韻が深まるものになっていたと思います。


映画ケープタウンの感想イラスト

アタイの勝手な解釈ですが、レイシストとして生きた、ブライアンの父もまた、重い業を背負わされた時代の被害者だったのかもしれない。

人は、いろんな事情を持って形成されてしまうので、何人も、善と悪、ときっぱり区別をつけにくいけど・・・・。

黒人同士の小競り合いをけしかけていたのは誰なのか。
人種間の憎しみ合いの背後で利権を得ていたのは誰なのか。
本物の悪魔は、手駒同志に殴り合いをさせて、高みで何食わぬ顔をしている。

というのをつい考えちゃったりして、あぁ!無情!!とぶるぶるしました。

最後に  

歴史上ではえんえんと、あらゆる暴挙がしでかされてきたワケですけど、「現代のリーダーにはモラルがあるから大丈夫」というのを信用できなくなっています。
アタイは、平和な時代であってこそ、物騒な血糊映画を見るのが好きなんです!
よって、少なくとも世の中を動かすリーダーには、命を平等に、かつ重く扱うモラルを求めたいモンでございます。

 

関係ないけど、刑事は黄色い車に乗らんほうがいいな、と思います。
尾行されるにしても尾行するにしても、黄色とピンクの車だけはナイわ~~。

 

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「ケープタウン」データ

Zulu (2013) フランス・南アフリカ共和国

監督

  • ジェローム・サル

キャスト

  • オーランド・ブルーム(ブライアン・エプキン)
  • フォレスト・ウィテカー(アリ・ソケーラ)
  • コンラッド・ケンプ(ダン・フレッチャー)
  • ジョエル・カイエンベ(ジーナ)
  • インゲ・ベックマン(ルビー)
  • ティナリー・ヴァン・ウィック・ルーツ(クレール・フレッチャー)
  • レガルト・ファンデン・ベルフ(デビーア)
  • パトリック・リスター(ジュースト・オッパーマン医師)
  • タニア・ヴァン・グラーン(タラ)