DAGON (2001) / スチュアート・ゴードン
クトゥルフ的、アイドル映画ですもんね
おお!!これははまさしくオチまできっちり「インスマスを覆う影」です!!
懐かしいなあ~。
クトゥルー神話の中でも、この話ならわりかしメジャー、好きな人も多いはず!!
そもそもラヴクラフトものって、映像化の難易度が高そうなせいか、マニア向けの表現力が必要とされそうなせいか、これまでの作品で古今東西がっかりすること多かったけど、実際これ見てがっかりした人もいるだろうけど、私はスキデス、この映画。
もっと早くに見ればよかった!
ホラーといえば、本来はネタバレ厳禁(アタイはネタバレしまくるよ!)、でもこれはやっぱし、クトゥルーを全く知らずに挑むより、ちょっとだけでもカジったりホジったりした上で見たほうが、ワッショイできるんじゃないでしょうか。
なんと言っても、この、ダゴンさんというネバネバ魚神は、クトゥルー界を代表する、みんな大好きアイドルと言ってもカゴンではないのでありますからして。
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さしあたって、画面の陰気さと私の脳内がほどよくマッチ。
ムっとするほど生臭く、ヨコシマで、マガマガしくて、シトシトのジトジトのぐっちょりで、ええい!!どんよりうっとーしいんじゃ!!てな町の情景が、いかにもクトゥルーらしいというか、その昔活字を読んで脳内に繰り広がった妄想と、わりかしオーバーラップします。
そりゃ、欲を言ったらキリないだろうし、私の脳内のおセンチなジワジワ恐怖を、きっちりこのゴードン&ユズナコンビに期待するのは、他人な以上到底無茶よね。わかっております。
でも大丈夫!いろいろ差し引きまくっても、最後まで機嫌よく楽しんで見ました!
やっぱ、人間ここぞの時には「これはモンスターパニック映画!」と、無欲に徹すれば救われるのです。
さてラスボス(?)のアイドル、ダゴン。
クトゥルー神話においては一応旧支配者の一員にてスケールのばかデカい存在であり、この世の深遠のごとき奥深さなので、全貌を特殊メイクで表現したりしようものなら、スポンサーに石油王10人ぐらい揃える程度の予算が軽く必要だろうし、低予算でゴリ押すとなれば、ファンから苦情が殺到するよね。
ゆえに、多分苦肉の策かなんかで、単なるタコの足の先っぽを、チラ見せにとどめたんだと思います。
うん、それは仕方ない。つーか、見えない部分をめいめいの想像力で補填させる、という高度なテクニックなんだと思います!
でもめいめいの想像力の出番がないほど、リアルに良かったのがウシア。
安達祐美とカトリオナ・マッコール(またですか?)を足して二で割って3Dな腹話術の人形化したみたいな美女で、もともとウソみたいな顔(きれいさ)なんですが、水中にてよりいっそう美しさおぞましさが増強。
まことに耽美なお点前であった。
チャームポイントなイカゲソ(タコアシ?)も、食欲増進まちがいなし!
あと、人の皮を剥いだのを大量に干してる乾燥室のシーン、ホラー好きにとって、「またかよ!」みたいな超マンネリシーンであることが否めないものの、私は好きだから支持します。
洗濯ハンガーを駆使して型くずれに気を配った干し方なんか、知恵袋感あってヨイ感じ!!
ちなみにブツのナマナマしさには段階があって、血糊もネバこいまだフレッシュなやつとか、風がふけばカサカサと音がしそうな水気の抜けきったやつとか、結構質感の細かい違いなんかをチェックしてはニヤケてしまった。
一応あとで皮むきの実演も見られるので(爆)、この件はとてもていねいな描写と言えるのではないでしょうか。
ところでインポッカ人たちが、その乾燥させた人の顔を、何に使うかと思ったら、魚化が進んだヒトたちが、顔にかぶるためだったんです。
いけにえの儀式のマスクがわりとでも解釈するのが普通だろうけど、もしかして、変わり果てた外見を気にしての変装だったのかもしれません。
見た目の魚っぽさを気にして、人の皮をかぶってるんだとしたら、案外醜形恐怖な人たちだったのかも!!
とすると親近感すら覚えることができます。
ちなみに、名優フランシスコ・ラバルは、撮影後まもなく没してしまったらしいので、「いらん!」だろうに、断れもせず、この映画を捧げられたりしちゃっています。
フツーこんなもん捧げられたら、ご冥福どころじゃなくなるのでは……。
「ダゴン」データ
DAGON 2001年 スペイン
監督
- スチュアート・ゴードン
出演
- ヨス・リファンテ
- ラクウェル・メローノ
- フランシスコ・ラバル
- マカレナ・ゴメス