ミーハーdeCINEMA

ミーハーが映画やドラマを見てはあれこれとつぶやいてます。

『映画』犯罪「幸運」(2012)

Glück / ドーリス・デリエ

犯罪「幸運」のカッレとイリーナ

このカップルの幸せを祈らずにいられない

 

邦題は一見ちょっとヘンなんですが、犯罪というタイトルの本の「幸運」という短編が映画化されたものらしい。
いい映画みたわぁ~という幸せ感を鑑賞後に味わえる点において、北斗の拳よろしく「あたたたたたたーーっ!」と高速プッシュできる映画でした。

 

まぁ私は節操なしなので、あらゆるジャンルの映画をガサゴソ見てきた軌跡として、頭の中にしょーもないTempがごったがえしておるのですよね。

ならばこそ、時々はTempをまるめてゴミ箱にポイっと投げて、見事カラッポと化したがらんどう(頭)に、まずはこういう素直な映画を入れて中和せなアカンよな~~と思う次第でございます。

 

これは、世間の片隅でそっと生きる、娼婦とホームレス青年の愛の物語です。
猛者の目には、ぬるいファンタジーと映るかも知れません。
でも、イリーナの得た幸せが本物であって欲しいなぁ~、と心の底から願っちゃうんです。

 

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マケドニアの内戦により、身も心も深い傷を負って、ドイツに不法入国したイリーナ。
正規の職につけないことから、体を売るしかありませんが、それでもひたむきに生きています。
ぶっちゃけ、イリーナめ~~~っちゃいい子!!!
銀髪のカツラとミニスカで仕事してたりするが、イリーナが静かにたたえる笑みは、品があって温かいんです!!!

けど、イリーナにはマケドニアの出来事で患ったストレス障害があって、いざスイッチが入ったらマチ針で自傷を行うんですよ。
幸せを失う前、イリーナはお針子だったんですよね。
だからマチ針を腿に刺して、呼び起こされたつらい記憶を、痛みによって鎮めるんです。

やだもう、一刻も早く幸せになってぇぇぇぇ!!
マチ針を腿じゃなくて布地に刺せる生活カムバーーーーック!!

 

ともかく、そんなある日のこと、通りすがりの人から小銭をもらって生活する、筋金入りのベジタリアンでパンク青年のカッレと、彼の相棒ワンコのバイロンを通じて出会います。

ミーハーとしてカッレの青い目に吸い込まれ、高熱にうなされる状態が発生するのはもとより、もう、この二人の雰囲気が、ほんとうにいいんですよ・・・。
できればその先は何も起こらず、イリーナとカッレとワンコが幸せなだけの映画を見たかった!!!
ぶっちゃけワンコの出てくる映画には、起承転結なんてアタイはいらない!!!

 

まぁ当然そんなわがままも通らず、二人の出会いによって、幸せなこともつらいことも起こります。

私的には「バイロン!!!うわぁぁぁぁぁぁぁ~~~!!」というくだりが余りにも胸どきどきクライマックスすぎたんですが、映画が用意してくれた純正のクライマックスでは、イリーナのお客がいきなりポックリと死んでしまいました。
イリーナは不正入国なので、正直に通報すれば、ドイツでの生活が詰んでしまいます。

 

お客に死なれたイリーナがその場を放置して公園で放心している間に、カッレが死体を見つけました。
そのような状況を目の当たりにすれば、イリーナが殺した???と思い込み、カッレがテンパるのも無理ないことです。
まぁたしかにイリーナは客を殺したいとか口走ってましたし。

しかし、そこで「客を殺してしまったであろうイリーナ」のためにカッレがとった行動が、凄まじく愛でした。
もう、近来まれに見る愛でした。
私は、感動の涙にむせびました!!R15シーンですけど!!

 

その後ハラハラしつつもつっこまずにはいられないすったもんだはあるものの、最終的にはハッピーエンドに落ち着いてくれて、胸をなでおろすことができるので、多少(多め?)の血糊が大丈夫なら、ほっこりラブロマンスとして、かなりオッケーなのではないでしょうか。

ちなみに、原作は2012年本屋大賞翻訳小説部門1位だったらしいですよ!!

 

 

 

 

犯罪「幸運」 データ

  • Glück(2012)
  • ドイツ

 

監督

  • ドリス・デリエ

原作

  • フェルディナント・フォン・シーラッハ 

キャスト

  • アルバ・ロルヴァケル(イリーナ)
  • ヴィンツェンツ・キーファー(カッレ)
  • マティアス・ブラント
  • オリヴァー・ネーゲレ