The Midnight Meat Train/北村龍平
目次
マホガニーが働き者すぎて泣ける
真夜中の、がらあきの地下鉄に、巨大な肉たたきハンマーを持った肉屋が乗っている!!
そ、そ、それは怖いよね!!!そうと知ってりゃ、夜中の地下鉄なんざぁ乗らね~よな!!
というクライヴ・バーカーの小説を、北村リュー様が映像化!
そう、ニッポンの星リュー様が、わざわざハリウ~~~~ッドまでお出かけして、撮ってきて下さった映画です。
アタイはぶっちゃけ、この小説を映画化するなら、ぜったい作者本人が、メガホンとる以外ないやろ~~~、っと思っていたので、正直この人選にはビックラしました。案の定、作者と監督がケンカしながら仕上げたとか小耳に聞こえてくるんですけど・・・。
ともかく、私は「あずみ」も見てないし、これがリュー様初体験。
いやぁ、こんなに良い監督さんだとはしらんかった。も~こわかった、こわかった。
だって、主役のレオンは、チャンスをつかみかけたカメラマン(原作では会計士)。
ここはイッパツ何が何でも、都会の深淵をえぐるようなスナップをものにしようと勢い余り、ひときわ怪しいオーラを放つ人物、「肉屋のマホガニー」に、ズザザザザ~~~~っと狙いを定める!
そして、マホガニーに抱く疑惑が確信に近づくにつれ、ズブズブと沼に足をとられるようにのめりこんでいくのです・・。
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実は私、趣味でカメラをやりますゆえに、ついそういう被写体にレンズを向けずにいられないという、レオンの気持ちも痛いほどよくわかるし、一方でそれがどんなに客観的に、ハタ迷惑であつかましい行為なのかも、ひしと感じてしまうのです。
平凡な神経のカメラマンなら、ターゲットをストーキングして隠し撮り、という行為は、映像で見るだけでもうしろめたくて、いたたまれないったらないはずなんです!
あと、カメラを持った人間は、まず、何はさておき撮ろうとする、という習性がございます。
肉眼よりも優先して、レンズを通してものを見る。
つまりそこで起こっている現実を、ダイレクトに認識することに、力いっぱい出遅れる、という弱点を確かに備えた人種なのです。
けれど、レンズを通して見たものは、確実な画となって残るのだから、それは立派な証拠である。
だけど思い込みにハマりすぎて、他の可能性を受け付けない、ってコトのほうが、ありがちなぶん、現実には怖いと思います。
ホントは写真ってウソつきなんだよねぇ。
くれぐれも、写された画を、まっしぐらに信用してはいけないのです。これは、写真をやってみてはじめてわかった。
しかし、この映画において、証拠能力は正しかった。レオンは結構、グッジョブだった。
……とまあ、だからこそ、主役のレオンが痛すぎて、せっかくのイケメンながら、あまり魅力的なキャラとも思えず、どんなヒドイ目にあうハメになっても、まあ自業自得なのかも……みたいなあきらめがつくから、感情移入のしすぎで終電に乗れなくなっちゃうような、後味の悪い映画と感じずにすみました。
その代わり、カメラマンの気持ちがワカル人間は、通常の倍怖い思いをするのだよ。
あっ、実際のスプラッタ度は、そんなに極悪非道なレベルじゃないです。首チョンパも目玉ブシュっとも、几帳面な、血抜きですらもギャグ路線。
だいたい、そうまで血みどろ列車を、誰が洗うん!とまで思い馳せたら、「小人さんかな?」って路線に落ち着くし、あとマホガニー君は働きすぎ。
人間、疲れたら、仕事テキトーになったりしますよね。
もうちょっとちゃんと休養をとって、もうひとつ執拗なザックリピューピューを見せて欲しいです。
エプロン装着の上、各種包丁で、重みで腰が抜けそうなほど、コッテリ武装する主人公の体育会系ぶりも笑える。
カメラマンとは、こと本気モードに入ったら、カメラ数台態勢で、米俵より重いバズーカを手持ちかなんかで、野に山に沼にと走り回ったりするんだから、丈夫じゃないとはじまりませぬ。
熊に出くわしても逃げるより先にシャッターを切りそうな人、アタイ数人知ってるもんね・・。
でもレオンはスナップカメラマンで、機材もわりかし軽そうだったし、いつのまに足腰鍛えてたんだろ~っとややビックリ。
ともかく、そんな、仕込みの芸がいちいち細かい点において、私はリューちゃんのセンスに、恋心を抱きました。
これは、シリアスの裏をかいた、コメディを意図してらっしゃるのでは?
あとね!マホガニーを演じたヴィニー・ジョーンズが好きですワ!
彼はなーんと、もとサッカー選手なんだって!ウッソー!ぜったいレスラーだと思ったのに!!!
第一、胸のイボイボのコレクションは、レスラーやお相撲さんならまだともかく、サッカー選手にとって、レベル高すぎなんと違いますかね・・。
まぁでもヴィニーは特別ですよね。
ガイ・リッチーのロック・ストック・トゥー・スモーキング・パレルズ以来、安定の悪役として、絶大な信頼を置いています。
思うに、マホガニーが、肉たたきハンマーを握り締めて背後に立つ姿を一目でも見たら、ぜったいマクファーレンに期待するよね。等身大フィギュアを、よろしく!!!!……と。
アタイ的には、ついでに、イボイボつき等身大抱きマクラもよろしくね!!と祈願したいと思います。
2010年5月28日
「ミッドナイト・ミートトレイン」データ
The Midnight Meat Train (2008)
監督
北村龍平
原作
クライヴ・バーカー
出演
ブラッドリー・クーパー / レオン(傑作を撮ろうとテンパるカメラマン)
レスリー・ビブ / (レオンを支えるけなげな彼女)
ブルック・シールズ / Susan Hoff(独身の若い男が好きな画廊オーナー)
ヴィニー・ジョーンズ / マホガニー(働きづくめの肉さばきのプロ)
ロジャー・バート / Jurgis
トニー・カラン / Driver
バーバラ・イヴ・ハリス / Detective Lynn Hadley
ピーター・ジェイコブソン / Otto
ステファニー・メイス / Leigh Cooper
テッド・ライミ / Randle Cooper
ノラ / Erika Sakaki(助かったのが運のツキ?美人モデル)
クイントン・ランペイジ・ジャクソン / Guardian Angel
ダン・カラハン / Troy Taleveski
ドン・スミス / Station Cop
アール・キャロル