MUTHU(1995)/K・S・ラヴァクマール
真夏に食べるあつあつのジャンクフードみたいな映画
その時私は忙しかった……。
少なくともヌケヌケ、映画を見てまぬけ笑いをしている場合じゃなかった……。
けど仕方ないよね……。
ええい!ダッシュだ私!!ムトゥだけは見なきゃ!!!
インド映画が来たら、なにはさておき、見る。見たら踊る。
これが、去年見た「ラジュー出世する」の後遺症だ。治んないよね、不治の病だ。
でもそのおかげで。
いや~、楽しかった!
たっぷり3時間に全てを注ぎ込んでしまう、サービスの濃さがもうたまらん。
作り手の狙い通りに反応したかはまぁともかく(笑)、全てを忘れて涙を流して笑ってきました。
見終わって、クジラのカラアゲを風呂桶山盛り平らげたぐらいの、満腹感。
なんせ、主役のおっちゃん(ラジニカーントとおっしゃる)は、一見サエないただのオヤジなんだけど、インドではスーパースターらしいのです。
写真だけでは 解んなかったけど、大スクリーンにて歌い踊るさまを見れば、「確かに!」と納得した。
ウェットなカメラ目線といい、さわやかという言葉をカキーンと場外にハネ返すようなキラリと光る白い歯といい、日本で言うなら、まるで金銀パールのシャチホコと化した杉良太郎。
そしてまばゆすぎるインド美女ヒロイン、ミーナ!!
そのゴージャスさたるや、もはや踊る大寺院。
絢爛豪華なきんぴかオーラの頑丈なのが、放射線状に直射してくるから、刺さらないように気をつけなければ!!
さらにボリューム満点の美ボディに、天然色を華麗にまとい、バッサバサと突風の吹くようなまばたきで誘惑されたら、誰だって、正気でいるのが心底バカらしくなると思う!!!!!
あぁニホンジン、グレー(今年の流行色)なんぞを身につけて喜んでるバヤイじゃないよぅ。
映画が終わってお外に出たとき、私の目はもう、遠近感を失って、涙が一筋流れました。
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やっぱりねぇ、ヨガで宙に浮くまでもなく、インドという国はすっごいなぁ。
庭に、当たり前に象や孔雀のいる暮らしなんて、ウットリするにもほどがある。私も今度生まれ変わる時にはインド人になって、象係を2人ぐらい雇って、無意味に着替えて腰ぐいぐいダンスを踊りたいなぁ。
ただしその為には、カーストの上位に生まれなければならないという、ハードルの高い現実があるのよねえ。
アタイが生まれ変わるときには、どうかだれもが平等に、象を飼える世の中でありますように!
ちなみに、インドコメディを目一杯楽しむには、見る側の協力が欠かせないかも。
次の、濃いインド映画の上陸に備えて、よし今日から修行だ!
(1999年1月)
「ムトゥ・踊るマハラジャ」データ
MUTHU 1995年 インド
監督
- K・S・ラヴァクマール
出演
- ラジニカーント
- ミーナ
- サラットバーブラーダー・ラヴィ
- センディル
- ヴァディヴェール
- ジャヤカバーラティ
- スバーシユリー
- ボンナーンバラム