사도(思悼)/イ・ジュニク
目次
米びつのなかで命を落とした悲劇の世子
これがまぁ悲惨な話でねぇ・・・・
実の親である王に嫌われた世子が米びつに閉じ込められて死ぬんですよ。
なぜそんな惨事に至ったか?
過去を辿りつつ、その8日間をみっちり描いた映画だったです・・・。
親兄弟で疑心暗鬼に陥ったり、殺しあうのは王室歴史あるあるだとしても、仮にも子に対する親(王)の行いとは思いたくもない、あまりにもむごい仕打ちです。
韓国歴史方面に明るい人ならこの故事は周知のものらしく、背景には老論派と少論派の深刻な対立なるものがあったようなのですが、アタイはそこらへん圧倒的に勉強不足の状態ですので、この映画が「父親からのとてつもないDVを受け続け、虐待死した息子の話」にしか見えないわけです。
もぅねぇ・・・しばらくの間、心底うんざりしましたよ・・・。
そもそも、幼少のみぎりに愛されていた息子が、なぜ時とともに疎まれる存在になったのか。
それは、息子が親の描く理想の人物に育たなかったからです。
世子なりに王の期待に応えようと努力をしても、王の思い通りの行動ではない。
王は正直じゃありませんから、王の内心を推理してそれに合わせる必要があるんです。
っって、できるか、そんなもん!!
思い通りの人形が欲しいんならクローン作れ!!
まぁ、偏屈で面倒くさい性格の王は、息子の個性を許さなかったのです。
そして、本来世子の味方であるべき妃や実の母さえも、王の手前救いの手を差し伸べることができずに悪意なき傍観者としてじわじわと世子の死に加担していくのです。
ほんとに嫌な感じですよ・・・。
怨念と血と涙と執着と保身と自己愛の底なし沼によろめき立つ宮殿と、荒波の中でもみくちゃになってる人間模様を、こうまでエグく表現するとは、さすがだ韓国映画!!と思います。
特につらかったのは、偏屈な王の習慣が伏線になっていて地雷ポイントを確実に世子が踏み、王と世子の間の溝がひとつ、またひとつと深まる瞬間のあからさまな描写。
鳥肌が立ち、頭を抱えずにはいられません!
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ちなみに最初、雨のシーンから始まるんですが、画面のこちら側の感情を不安と絶望でいっぱいにさせるような、物凄いシーンなんですよね。
間違いなく私の中の「辛気臭い雨シーンベスト10」に入る。(このベスト10には韓国映画の率が高いです)
あと、最後のほうの王と世子による対話シーン。
王の事情や悲しみを、汲み取るべきシーンだったのかもしれないんだけど、王の行為の正当化が醜いシーンとしか思えなくて、アタイは心底むかつきました。
心がせまくてすみません・・・。
ともかく、こうまで感情が動いたからには、参りました!!と拝まざるを得ません。
ソン・ガンホ、まじ存在感さすが!って感じなんですが、それ以上にユ・アインですよね。
画面に没頭させられる壮絶な演技、ほんとうに凄かった。
「 王の運命(さだめ)-歴史を変えた八日間-」DATA
- 사도(思悼)2015年韓国
監督
- イ・ジュニク
キャスト
- ソン・ガンホ (朝鮮21代国王 英祖)
- ユ・アイン(思悼世子)
- ムン・グニョン(恵慶宮 、思悼世子の正室)
- チョン・ヘジン(暎嬪、 思悼世子の母)
- キム・ヘスク(仁元王后、英祖の継母)
- パク・ウォンサン(洪鳳漢、恵慶宮の父)
- ソ・ジソプ(朝鮮22代国王 イ・サン(正祖))
- イ・ヒョジェ(世孫サン、思悼世子の息子)
- イ・デヨン(金尚魯 、老論派)
- カン・ソンヘ(キム・ハング、貞純王后の父、老論派)
- チェ・ドンムン(洪麟漢 )
- チョン・ソギョン(ホン内官)
- チェ・ミンチョル(蔡済恭 )
- チン・ジヒ(和緩翁主、思悼世子の妹)
- パク・ミョンシン(貞聖王后 徐氏 、英祖の正妃)
- ソ・イェジ(貞純王后、英祖の継妃)
- パク・ソダム(内人)
- チョ・スンヨン(イ・チョンボ、思悼世子の師)
- イ・グァンイル(閔百祥、思悼世子の師)
- チョン・チャヌン:イ・フ - 思悼世子の師匠
- チャ・スンベ(パク内官)
- キム・ミンギュ(金亀柱、貞純王后大妃の兄)
- アン・ジョンウ(4歳の思悼世子)
- オム・ジソン(10歳の思悼世子)
- シン・スヨン(幼少期の恵慶宮)
- シンビ(幼少期の和緩翁主)
- チェ・ジウン(キム・ドス、内禁衛長)
- イ・ジワン(別監隊長)