Drag Me to Hell/サム・ライミ
目次
サム・ライミ純正のホラー
こ、こ、これはまさしく、「おかえり!!サム!!待ってたよ~!!」と満面に笑みをたたえて両腕を広げたくなるホラーでございますよね。
ダリオでもなければルチオでもない、ニールでもなきゃピーターでもなく、ほかでもないサム・ライミならではの独特さがモリモリテンコのこの味わい!
なんてったって、おババのバッチィ入れ歯ひとつが、とことんいい仕事するんです。
はずしたコイツがネバーと糸を引くのを見れば、クリスティンじゃなくても、「ポリデントぐらいしてから請いやがれ!!」と脊髄反射が発動しますよ。そりゃしょうがないよ。
そして、はずした入れ歯の乗ってたハンカチが最強。そのしぶとさといったら、かつて、アッシュという伝説の男が格闘した、史上最強の本棚並みだね!っとパチパチパチ。
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ともかく、よだれの浸みたハンカチに、まとわりつかれる(?)おぞましさ。そりゃホチキス攻撃ぐらい正当防衛ってもんでしょう!
とまあ、サム・ライミのホラーとくれば、やっぱり、元祖死霊のはらわたを思い出す条件反射がございます。(リメイクのお話もあるようだけど)
ただし、「スパイダー・マン」などを監督したかどで、今回のサム・ライミさんは空前絶後の出世済み。
ということは、駆け出しのころにできなかったコトが、難なくできる身分になっちゃってるってコトですよね?
放し飼いのサム・ライミ?そら、面白くないわけがない!
ところが、その野放しの開放感を期待すると、ちょっと違ってるような気はします。
なんと言いますか、一流監督の作ったB級映画の面白さ、って言い方のほうがしっくりくるかな。
いわば、琥珀色のB級映画?
この「スペル」では、死霊のはらわたのころにフル活用されてたとおぼしき、「内輪のよしみ」や、「ムチャのきくヤロー友達をとりあえず主役にして」みたいな強引ぐマイウェイさがもう見られないのはさびしいものの、アリソン・ローマンちゃんほどのかわいらしい女優さんが、あんなコトやこんなコトまで体を張って、怒って帰りもせずがんばってくれるってのがイイんですよね!
ホラー映画を見るほうとしても、どっちかと言うと、主役は薄着の美女が~!!てのは、やはし万国共通のホンネでしょうし・・・。
しかも美女が着てるのは、ちょっとレトロで、必ず胸もとの大きく開いた、ワンピやブラウスとかなんですよね!
これぞ大衆融合したエンタメでしょ?!!サービスいいよね!!
愛猫家だけは、がっつり敵に回すとしても・・・・。
そして、もう一人の美女、ガーナッシュ夫人の存在感もたたえたいです。
駐車場の戦闘シーンでは、クリスティンよりもむしろガーナッシュがんばれ!!と手に汗握って支持しちゃったのって、ぜったいアタイだけじゃないと思う。
車のガラスを叩き割るシーンとか、ラミアのシーンより断然クライマックスじゃん!!
それはさておき、映画としてはお笑いホラーで、話自体はファンタジーだと思うんだけど、人の感情の動きとして、けっこう現実によくありそうなところをおちょくっているぶん、イガイにリアルに怖かったりもするんです。
敵は、同情の余地はあるにせよ、世にもハタ迷惑なモンスター・クレイマーおババ!
恨む相手を力いっぱい間違ってるが、そういういいがかりは、今時どこでもかしこでももわんさとあるから、現実、ラミアにとり憑かれちゃいまして、って死因のカルテが医大病院に落ちてても、あんまし驚かないかもね。
ただ、「お笑い」がどんどん加速して、真正面からばばーん!と、「ギャグです。」と開き直ってくるにつれ、逆に笑いがしぼんでいくのは残念でした。
やっぱ、笑いはあくまで恐怖の向こうの黒子として、奥ゆかしく仕込まれてるほうが、アタイとしてはより可笑しく感じられたハズなのです。
いや、単に個人的に、潜伏した笑いのほうが好みだってだけなんやけど。
なんつーか、ホラーなのに、ホラーより前面に出てくるおふざけって、もぐらたたきのモグラみたいに、つい穴の中に押し戻したい(笑)。
関係ないけど、女優さんの心境として、アルジェント映画とライミ映画と、どっちに出るほうが「まだまし」なのかなぁ?
アルジェント・ホラーとは違った意味で、サムライミ・ホラーのヒロインには、独特の悲劇がある気がします。
2011年10月
「スペル」データ
Drag Me to Hell 2009年 アメリカ
監督
- サム・ライミ
出演
- アリソン・ローマン
- ジャスティン・ロング
- ローナ・レイヴァー
- ディリープ・ラオ
- デヴィッド・パイマー
- アドリアナ・バラッザ