マスターズ・オブ・ホラー第13話 IMPRINT/三池崇史
目次
岩井ワールド×三池ワールドのものすごさ
いやいやいやいや、ともかく、素晴らしく美しい!!!美しいったら、美しい!!
三池作品だから拷問シーン強烈やでええええ!!とか、岩井作品だからいやもう変態でアハハハハハァハァハァァ~……(汗びっしょり)。
……とか、ショッキングすぎてむこうで放送禁止らしいでええええ!!!
とかとか、まぁ色んな情報があらかじめ氾濫しちゃってましたけど、そんなお手つき状態でも、冒頭のシーンからもう早速、両足首をがっちりつかまれ、ぼっけえ、きょうてえなファンタジック・ワールドに、ズブズブズブッとひきずり込まれてしまった感じです。
感想
オープニング、男たちを乗せて、渡し小船が水面を滑る。
あれにおぼろに浮かぶのは、遊郭の島。
眼下にぽっかり浮かぶのは、孕んだ遊女の土座衛門……。
なにはともあれ、のっけから、ビリー・ドラゴの顔が陰気だ!!!
ホネの上に直接カワ!!上から言えば、表皮→真皮→まっしぐらにホネ!!途中の面倒くさい水分も油も肉も抜き!!という潔いまでの精進仕様。
もしこの話を何の予備知識もなく見始めたとしても、この先絶対ろくなことがないってことは、そこにビリー・ドラゴがいるだけで、軽く察しがつきますよね!!!
いや好きなんです、こういう干物みたいな人相で苦悩してるキャラって、もう額縁に入れて隔離した上で眺めたいほど、個人的には好きなんです!!
でもやっぱ、笑うとすんげぇ、怖いのよ……。
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それというのも、ドラマ中ビリー・ドラゴが軽く笑う(ように見える?)シーンが、たったひとつだけあるんですけど、まさかドラゴの口角が上がることがあろうとは、思いもよらなかっただけに、こ、こ、こ、こここここぇぇぇぇぇぇ!!!っと本気でのけぞってしまいました。
アタイ的には最恐シーン!!
それに比べりゃ~、問題の拷問シーンなど、なんちゅうことはございません。
いえ、あくまでも、ゴリゴリギッチョンのスプラッタじゃーなかったよ!!ってだけのこと。
けど、命に別状なくいたぶられるってのは、精神的にはかなーーーり、ぼっけえ、きょうてえーーーーー!なんじゃありませんかね。
近日の洋モノスプラッタにありがちな、浮世ばなれなヒドい描写はないというのに、あくまでも華麗に陰険に人間の痛点をつき、色と構図と声でおぞましさを魅せつけてくる、すごくイヤなシーンだったと思います。
あと、岩井志麻子女史が、夢に出そうでイヤ~!!!
つーかぶっちゃけ、この物語、役者さんのチョイスがすんげーなあ!!と思います!!
天使のような「小桃ちゃん」を除けば、みため、福々しいのは夕貴ちゃんだけ!!
ただし特殊メイクあり!
問題なのは、そのワキをずらりと固める、痩せこけた役者陣!!木下ほうかと今井久美子ペア!!江口のりこと播田美保の遊女!!マユなし根岸季衣に鼻のもげたマメ山田!!!思わずギャーグルジイたすけて!!酸素!!酸素!!酸素をくれっとパクパク呼吸をしてしまう!!
アメリカで放送禁止っちゅーよりも、どっちかつーと、標高2000M以上では見ちゃダメ!!なカンジ!!
それにしても、「貧しいこと」をこうもあからさまに描くことで、こんなおぞましくて悲しい悲しいドラマができるんだから、やりきれません。
近親相姦にも、間引きにも、根底に貧しさによる絶望が脈々と流れて、そんな社会の真実に、恐怖心を直撃される居心地の悪さ。
「清く、貧しく、美しく」というけれど、度を越して貧しい人間にとっては、きれいごとを言っていちゃ生きていけない現実があったりして、きれいごとを言えるのは、まだしも恵まれたことなのだろうと思ったりするわけですよねぇぇぇ。
そんなカビっぽい日本人ごのみな自虐と、じゅるりんでポイ!!みたいなダイレクト映像を見せられちゃ~、アメリカ人にとって「ムリ!」だったのも、なんとなく頷ける気持ちになります。
まぁそんなおセンチな感情も、おねーちゃんの登場で、ものの見事にふっとびますよね。
そう。おねーちゃん。おねーちゃんねぇ……いいんだけど……いいんだけど……
ビジュアルはそれかよ!!!!オイッ!!!!
みたいな、三池監督らしさがあってたまんない。
時間は1時間ぐらいなのに、盛り込みがいろいろありすぎで、本当は2時間ぐらいでもう一歩深く見たいかなぁ。
でも面白かったことは確かだし、めっちゃ満足しています!!
(2007年5月)
「インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~」データ
IMPRINT 2005年 アメリカ
マスターズ・オブ・ホラー第13話
監督
- 三池崇史
原作
- 岩井志麻子
出演
- 工藤夕貴(女郎)
- ビリー・ドラゴ(クリストファー)
- 美知枝(小桃)
- 根岸季衣(おかみ)
- 岩井志麻子(拷問する女)
- 木下ほうか(女郎の父)
- 今井久美子(女郎の母)
- マメ山田(客引き)
- 市野世龍(坊さん)
- 野村鈴乃(女郎の子供時代)
- 江口のりこ(遊女)
- 高田恵夢(遊女)
- 播田美保(遊女)