米倉涼子バージョンと武井咲バージョンを見ました
目次
ええ、黒革の手帖のドラマを2バージョン見たのですよ・・・。
これを見るに当たって、どれだけの日常生活を犠牲にしたかと思うと、失われた時間に対して供養の涙がこぼれます。
ともあれ、松本清張の悪女ものの中でも「黒革の手帖」は、結構好きなお話です。
アマゾンプライムでタイトルを見かけ、「そういや米倉涼子版は以前見たけど、武井咲版は見てないなあ・・・。」と思うと同時に、つい再生ボタンに手をかけていたという次第。
そして、武井咲版を見終わった時、何故か米倉涼子バージョンの再生ボタンが押されていました。
アタイの中指の仕業です。脳は経由していません。
さて、両方見たからには自慢したくなるのが人情なのではないでしょうか。
一応原作についてはさて置きます。(原作がいちばんヤバイです)
黒革の手帖ざっとあらすじ
今更ですけど簡単に。
銀行員の原口元子は、銀行の支店長と次長が顧客に斡旋した脱税用の架空口座に目をつけて、関係者一同に歯ギシリさせつつ、まんまと大金を横領します。
それを元手に銀座にクラブ「カルネ」をオープンするんだけど、ピンチになるたび、黒革の手帖に控えた架空口座をネタに顧客をゆすってお金をつくります。
まぁ銀座のクラブという魑魅魍魎がひしめく場に、腹黒い金の亡者ばっかり集まって、わぁ~~どうすんの!!というお話です。
黒革の手帖(2017)
原作の時代設定ではさすがにもうキツイせいか、登場人物がスマホを持ってる現代バージョン。
原口元子(武井咲)は行員時代も銀座のホステス時代も派遣社員で、フィクサーのおっちゃん(長谷川)から、ゆとり世代扱いされてます。
元子のライバルとなる波子(仲里依紗)はもと同僚と言う設定で最初は可愛かったので、キャラ豹変ぶりにびっくりします。
お話は全体的にライトな感じで、清張み(社会性とか空恐ろしいほどの人間のエグみやおかしみとか)は薄めだったかなぁと思います。
つーか、銀座にお店を持つ元子にとって「銀座一若いママ」というステイタスが原動力で、そこに通うお客を全て「お金」として見下しているように見えるので、感情移入しきれない。
ライトと言いましたけど、脇を固めるキャストの怪演ぶりは相当なものでした。
高島政伸の橋田理事長とか、滝藤賢一の村井次長とか高畑淳子の市子とか、伸び伸びと・・・というか伸びすぎたタケノコみたいな吹っ切れた演技を見せてくれるので、いろんな意味でキモすぎて・・・万一夢にでてきたら、かなりうなされる感じです(褒めきれないけど褒めようと努力している)。
そして真矢ミキ、伊東四朗、奥田瑛二・・・さすがの存在感でした。
私的にちょっと嫌だったのは安島と元子の年の差ですかね・・・ぶっちゃけ親子ぐらい違って見えます。
恋愛要素はさほど強くない演出になってるものの、元子がただひとり体を許す相手なのでもう少し年が近いほうが生ぬるく見守れたと思います。
あと、いくら横領した金が元手とはいえ、元子の金遣いがなかなか荒いw
店を持ち女の子を雇いリッチな住居を構えた上に、その上あの着物量・・・・大体訪問着クラスだったし、1億8000万でそれ全て実現ってできるのかなぁ?
元子が金銭出納簿みたいのつけてるシーンがあるんですけど、あの暮らしを支える金額にしては数字が少なすぎない・・・?ってツッコミそうになってしまった。
そうそう、着物と言えば白い着物が多いんですよ。
リアルに考えれば、水商売でそれはかなり攻めてますよね。
庶民としては、ワインでもこぼそうモンなら洗い張りの金額がナンボで・・・・とか考えてちょっとクラクラしてしまうなぁ。
でも、それだけに武井咲ちゃんの着物姿はこのドラマいちの見どころで、ほんとうによく似合っていたし、贅沢気分のパネェこと!!
もちろん和装だけじゃなくて洋装もめっちゃステキです。
ぶっちゃけキレイだしスタイルや姿勢がいいから、たぶんユニクロ着ててもハイファッションに見えると思う。
ちなみに、安島の婚約者は、断然江口のりこ派です。
キャスト
- 原口 元子( 武井咲)
- 安島 富夫(江口洋介)
- 山田 波子(仲里依紗)
- 村井 亨( 滝藤賢一)
- 藤岡 彰一(菅原大吉)
- 牧野(和田正人)
- 島崎 すみ江(内藤理沙)
- 橋田 常雄( 高嶋政伸)
- 堂林 京子(江口のりこ)
- 岩村 叡子(真矢ミキ)
- 中岡 市子(高畑淳子)
- 楢林 謙治( 奥田瑛二)
- 長谷川 庄治(伊東四朗)
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黒革の手帖(2004)
やぱし、米倉涼子バージョンは迫力があります。
安島(仲村トオル)との関係は、断然こっちがいいんですよね。
似た者同士ゆえに威嚇しあいながらも惹かれあって、血みどろになっていくみたいな凄まじさがあるし、人の感情の底知れない動きに圧倒されたりするんです。
こっちの元子は店に大金をつぎ込むものの、生活は質素です。
店が、元子の居場所なんですね。
だからガツガツとしたお店への執着が理解できる気がするんですよね。
お金は、居場所とか生きるモチベを維持するための手段みたいな感じ。
米倉涼子さんは肩が張っているので若干着物姿がゴツイんですが、そこもバイタリティーを感じるポイントとなっています。
悪い女なんだけど、闇にのみこまれながらもたくましさと人間味を感じさせてくれる元子の魅力にぐいぐいと引き寄せられます。
どうなったかをはっきり見せないラストも好き。
周囲を固めるキャストは、そうそうたる顔ぶれで、ドラマのグレードを底上げしていると思いました。
とくに津川雅彦の長谷川の怖さは、「下手したら殺されるな」という現実感で、背筋がヒンヤリいたします。
キャスト
- 原口 元子(米倉涼子)
- 安島 富夫( 仲村トオル)
- 山田 波子(釈由美子)
- 紺野 澄江( 吉岡美穂)
- 櫻井 曜子(紫吹淳)
- 橋田 常雄(柳葉敏郎)
- 楢林 謙治(小林稔侍)
- 岩村 叡子(山本陽子)
- 長谷川 庄司( 津川雅彦)
- 中岡 市子(室井滋)
- 村井 亨(渡辺いっけい)
- 藤岡 彰一(小野武彦)
- 伽耶子(真木よう子)
今週のお題「ドラマの秋」
西日本はまだ真夏でして、いまだに冷房ナシではドロドロになる有様ですけど、一般的には秋ですね・・・・。
秋の夜長に、増税前にゲットしたポン酒などいただきながら良いドラマそうでもないドラマなど無差別にたしなみますのも、オツなものではないでしょうか。