Before the Rain/ミルチョ・マンチェフスキー
目次
あらすじ
これは、私イチオシ、グレゴワール・コラン出演というボーナスが光る、三部構成のラブストーリーなのです。
第一部「言葉」では、マケドニア人と敵対する、アルバニアの超絶美少女ザミラと、沈黙の修行中の若い僧キリルが恋に落ちます。
第二部「顔」では、夫と愛人の2人の間で気持ちを揺らすアン(カトリン・カートリッジ)の迷いが、かなしい結果となって語られます。
第三部「写真」では、アンの愛人であったアレックス(レード・セルベッジア)がマケドニアに帰って、かつて好きだった女性と再会します。
感想
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私は、私は、この映画のコランがいっちゃんすっきやぁぁ!
キリルという青年僧のキャラクターはまさにコランの「もの言いたげに濡れた黒い瞳」の為のもの!
風になびく黒衣も、7回転半で卒倒しそうなほどかっこええーーーーーーーーーーーー。
と、いくら吠えても吠え足りぬほどに、 コランに惚れすぎる一品。
なんせこのキリルという僧は、かれこれ3年も沈黙の業をやっております。
言葉を発しないからこそ、まなざしや指先から心を語りかけるのです。
仕草や肉体から伝わる思いっつーやつは、ストイックな反面まことにいろっぽいのであります。
コランの場合、その点生まれながらに超天才。
つうか意外と単純に、長いものには長いものが似合ってる?
つまり、熱いものは熱いうちに食うとうまい?(ちがう?)毒を喰らわば皿までってやつ?(もう言うな?)
ともかくそのストイックさに胸を鷲づかみにされたもんだから、僧衣を脱いで、着替えたアディダスのナマナマしさはショックでした。
こんな悲劇の似合わない、普通の少女と普通の少年じゃん!と。
ただミーハー的には、ベストなコランを味わう意味において、ゆったりとした白シャツか、いっそ脱いだままとかでも良かったのになぁ・・・とうっすら思ったりしたんですけど。(オイ)
と、と、ともかく。
この映画、どうしようもなくひきつけられる映画で、どっと重たく絶望的な内容ながらもキーンと静かで美しく、見終わった後もあとからあとから余韻がさざ波のように・・・静かに強く押し寄せて参ります。
というか、ビフォア・ザ・レインの世界から、「帰ってこれない」んですよね。
お話が終わらないから。
でも当座命の危機のない私達には、この映画の、限りないやりきれなさをリアルに理解できるかどうか。
せめて、遠い地の紛争にもときに思いを寄せること、心がけたいと思います。
かの土地の、絵空事でない流血の輪廻。
いつか終わることがあるのでしょうか。
コラン鑑賞におけるワンポイント・アドバイス
私はこの映画を最初に見たとき、第二部か第三部にも、必ずやコランが出るはず!!と信じきっておりました(涙)。
人間「希望」は大事やし……。映画が終わってしまうまでは、ひとすじの希望を胸に、広い心を保ちましょう。
かれこれエンドロールになりますと、さすがに暴れても良いでしょう。
ということで、もっとたくさんコランを見たかった私やあなたは、あらかじめサンドバックを用意してから、鑑賞するのがよろしいかと思います……。
念を入れたい凝り性な私やあなたは、コメカミにピップエレキバン。
映画の幕が閉じるや否や、争う性の生き物たる、かなしさややりきれなさも、コラン不足の禁断症状もろとも、マットに沈めてしまいましょう。
まあ本当に正しい鑑賞法は、メビウスの輪を体感する意味においても、えんえんと繰り返し見続けることなのかも知れません。
「ビフォア・ザ・レイン」データ
Before the Rain, Pred dozhdot 1994年 マケドニア、フランス、イギリス
監督
- ミルチョ・マンチェフスキー
キャスト
- キリル:グレゴワール・コラン
- ザミラ:ラビナ・ミテフスカ
- アン:カトリン・カートリッジ
- アレキサンダー・キルコフ:レード・セルベッジア
- ニック:ジェイ・ヴィラーズ