HELLRAISER:INFERNO/スコット・デリクソン
目次
Vシネマ版ヘルレイザー
思い起こすまでもなく、ピン氏、前回こっぱみじんの大往生(?)にて、宇宙の塵と化しましたよね・・・。
いくら未来の出来事とはいえ、いまさらとりかえしのつかない「アーメン」ナドという遺言まで残しお亡くなりになって、話はひとまず完結しているわけなので、これは番外編といった扱いなんだと思います。
魔道士たちもリアルな地獄の使者というより、人の意識のあいまを縫って、モグラ叩きのモグラのようにぴょこんぴょこんと出没します。
そのせいなのか、以外と誰でも脳味噌のどこかに、魔道士さんが住んでいるものなのかも・・・みたいに不条理さが身近にすら感じられ、妙なリアリティに焦ります。
モグラ叩きをやる時は、ついついバリバリ全開真剣勝負な体になる、という副作用もモレなくついてるかもしれません……。
今回の主役はグレイグ・シェーファー演ずる小悪徳刑事ジョゼフ。
1や2のジュリアやフランクのように極悪でしぶといモンスターというわけではなくて「いるんだろうなあ、こうゆうヤなやつ。」みたいな、中途半端な悪事が煮え切らないおっちゃんです。
行動は確かにアコギでうす汚く、ありがちゆえにより忌まわしく、とても好きにはなれないし、感情移入もしたくない。
スポンサーリンク
それでもジョゼフは、ヘルレイザー的地獄に放り込むほどでもないよね、みたいな小悪党レベルなんです。
世の中には、もっとその快楽にふさわしい悪がゴマンとあるけど、でもまぁ、その理不尽さがヘルレイザーよね、と言って言えなくはないのかなぁ。
それにしてもグレイグ・シェーファーという人は、こういう役が似合いすぎ(笑)!!
演技力もあるんだろうけど、なんともいえないいびつさと、にじみ出てくるふてぶてしさが、この男なりのセコい地獄にハマって見えます。
ちなみに、ピンヘッドは、ちょっと人格が変わりました。
なんか、そらアカンやろ、と突っ込む以外ないような、ムチャクチャさがなくなりました。
つーか、むやみにおごそか、いっそ神々しいと言ってもいい。<暴言
さては宇宙で死んでから極楽にでも寄り道して、「アーメン」の副作用で、悟りとか開くハメにでもなったかなぁ?
それとも、腹ついでにココロも脂肪をたくわえて、すっかり丸く変わり果てたか。
それは決して、ちょっと年をとった、ダグ・ブラッドレイの外見上の問題だけじゃなく、本当にカドがぽろんと、かさぶたみたいにとれちゃったカンジ。
案外、顔にまんべんなくささったピンも、年とともに抜け落ちる、髪の毛みたいなモンなのかも。
となるともはやピンヘッドも奈良の大仏も十字のまんなかのあのヒトも(も、もののたとえですけど!)京都によくいたタヌキの置物も、そんなに大差ないような気がしてきます。
まぁ、やっぱ「プチ・ヘルレイザー」になりましたよね。
ピンヘッドキャラのみならず、イターイ地獄もミニサイズ。
1や2で目をそむけたような、飛びぬけたえげつなさは見当たりません。
でも、こういう話も、それはそれで私は好きです。
場所を選ばず舞う雪(?)も、ひんやりとした色彩も、どうにもやりきれなく美しく、ジョゼフの地獄の悲しさを、バックアップしてるよね。
セノバイトも、出番少ない分ある意味スタイリッシュさが強調されてて、まートルソは思わず「カヤコ」と呼びかけそうになっちゃうものの、エンジニアという存在も、ちょっと気になるっちゃ、気になります。
これからは、コンパクトにまとまったサスペンスタッチのこの路線で「1とか2でゲットしたファンから搾り取れるだけ搾り取るヘルレイザー」を見届けることになるヨカンです。
やだ~それアタイのことじゃん!!
(2004年)
「ヘルレイザー ゲート・オブ・インフェルノ」データ
HELLRAISER:INFERNO 2000年 アメリカ
監督
- スコット・デリクソン
出演
- ダグ・ブラッドレイ
- クレイグ・シェーファー
- ニコラス・タートゥロ
- ニコラス・サドラー
- ノエル・エヴァンス