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ソラリス

SOLARIS(2002)スティーヴン・ソダーバーグ

 

ソラリス (字幕版)

ソラリス (字幕版)

 

 

ジョージ・クルーニーって宇宙が似合う・・・

謎の惑星ソラリス。
その星にはナント「知性ある海」(ってなんじゃそら!!)があって、断りもなく近づく人間のこころを読み、しかもそれを形にして投げかけてくるもんだからもう大変!!!……という話よね、た、たぶん。

登場人物のソラリス探査クルーたちは、「己の内面、心の深層」などという、自分では見て見ぬふりをしていたような痛いところを、不意打ちにズボっと突かれて、思わず自殺したり引き篭もったりと、それはもう痛ましいほどの狼狽ぶり。

人間が、脳みその「自分に都合良い解釈」という、世にもありがたいお仕事を抜きに、己を直視するということは、かくも拷問なのかいなぁ・・・。
まあ確かにそうだろうなぁ・・・。

で、ジョージ・クルーニー演じる心理学者、クリスに対して、ソラリスがよこした「お客」は、遠い日に「消えた愛をはかなんで 自殺した妻、レイア」の形をしていました。 クリスは妻の自殺について、心の奥で、むっちゃ自分を責めてます。

 

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ソラリスからのお客のレイアは、あくまでも クリスの目で見ていた妻のレイアが実体化してしまったものであり、レイアのコピーとはいえませんよね。
オリジナルのレイアのこころは、本人がもうこの世にいない以上、誰も知る由がないんだもんね。

ところが、その、コピーですらないレイアにも、オリジナルな自我があり、自分の存在を悩みます。
そんな現象と前後しながら、クリスの中の、過去の本物のレイアの思い出がクロスしたりするからややこしい!!

 

娯楽のつもりで見ていたアタイは、思わず頭をかきむしり、ヘアスタイルがアインシュタイン状態。
ちなみに見た目がいくらアインシュタインでも、頭の中身は自前のままなのがちょっと納得いかないです。
どうせなら、一瞬でも天才にしてくれよ!!
・・・・・。

そのようにおバカなアタイを置き去りに、コピーのレイアは、記憶どおりか、はたまた自我ゆえか、やがて死を望みはじめます。
一方クリスは、贖罪なのか寂しさなのか、または愛の再生か、コピーのレイアと共に生きることを望みます……。

クリスとレイアのラブストーリー?

 

……ってことで、ソダーバーグ版「ソラリス」では、クリスとレイアのラブストーリー(?)に、焦点が絞られているらしい。 

んーでも、これが愛の続きとか、再生だとは思えないしなあ……。
本物のレイアは死んでるわけだし。

強いていうなら、クリスの1人ラブストーリーってところじゃないかなあ……。
でも、それを言うなら、現実に恋愛をしている恋人同士だって、二人揃って、1人ラブストーリーをやってるだけかもしんない。
それを言っちゃあおしまいか・・・。

おしまいだけど、わたしたちはあくまでも自分というフィルターを通してしか、他人を感知することができないのは確かだもんなぁ。
たとえば私が、コランすきすきって言ってるのは、「私の脳で感じたコラン」をスキスキってことで。
もっと言えば、「私の脳が、私に都合よく脚色した、コラン」に(はあと)ってことだよね。

きっと、クリスにとってコピーのレイアは、本物のレイア以上にレイアそのものだったりするはず。
ソラリスが物質化したものは、それぞれの自己に内包しているぶんには、本人にとってピュアな真実であることはまぎれもない。客観的な事実じゃーないけどさ……。
むーーーう、もうこのさいそれでいいじゃん!!

……というところで、「正解などない。あるのは選択だけだ。」というセリフに、ミョーに納得したりする。


ぶっちゃけ、アタイのようなアホには、わかったよーな、わかんないよーな、難しいお話でした。
でも、嫌いじゃないです。めんどうくさい話も、たまには見ないとオツムが贅肉になってしまう。

それにしても、もしも他人それぞれの、記憶のなかの自分が、人格を持って形をなしたら、今ここにいる自分は、用なしなのかもしれないなぁ。
生きていることって、本人の自覚を抜きにすれば、なんとあいまいなことだろう。

はぁ。
それにしても、映像の美しい映画でした。すきとおった青が、冷たくて遠かった。

(2003年12月)

 

ソラリス (ハヤカワ文庫SF)

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惑星ソラリス Blu-ray

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「ソラリス」データ

SOLARIS  2002年 アメリカ

監督

  • スティーヴン・ソダーバーグ

出演

  • ジョージ・クルーニー
  • ナターシャ・マケルホーン
  • ジェレミー・デイヴィス
  • ヴィオラ・デイヴィス
  • ウルリッヒ・トゥクール